第182回都市経営フォーラム
地球環境時代の都市再生
〜拠点駅の重点都市開発を中心に〜
講師:家田 仁 氏
東京大学大学院工学系研究科教授
日付:2003年2月21日(金)
場所:日中友好会館
(パワーポイント1)
きょうお話しするのは、コンテンツとしまして、次のようなことを考えています。1番、都市の考え方と都市のあり方。それから、都市再生の視点。幹線鉄道イメージの都市再生、これはいろんな国を若干紹介するのと、その後具体的な例として渋谷を対象にお話ししたいと思います。
(パワーポイント2)
現在の都市をこれから再生するというときには、これまでの都市に関する物の考え方をどうしても知っておかなきゃいけないんです。そのミニマムの知識として、もちろん都市のことをいっている人はいろんな人がいるんですが、4人挙げております。左側から、ユベネザー・ハワード、ロイド・ライト、コルビュジェ、ジェイ・ジェイコブスと、この4人を代表例としてお話しします。
(パワーポイント3)
時代がちょっとずつ違います。まず、最初に、ハワードはいうまでもなく田園都市のお話をしたわけで、密集したロンドンで煤煙もひどいし、交通渋滞もひどいし、都心にずっと暮らすのは快適な話ではない、やっぱり郊外の快適な場所にいい住宅地をつくって住もう、こういうことでございます。これがガーデンシティで、それはイギリスだけではなく、アメリカや日本でも、どこでもここでも広がっていくわけです。
(パワーポイント4)
アメリカニュージャージーの有名なラドバーンという町です。そこでは、歩行者の通路と車の道が完全に分離された緑豊かないい住宅地ができているわけです。もちろん1戸建てで広々としているわけです。
これが近代的な大都市をつくっていく上で、郊外のいい住宅地。これが基本的な流れです。
(パワーポイント5)
アメリカの町を上空から眺めますと、郊外は大体こんな感じになっているわけです。屈曲した街路と緑豊かな並木道、そしてそこに1戸建ての住宅が並ぶ。非常に整然と全体的につくられているわけであります。
(パワーポイント6)
そこではもちろんマイカーが普及する。1930年代、40年代くらいから普及してくるわけですけれども、それに伴って非常にのっぺりとした郊外型の市街地開発が進むわけです。
(パワーポイント7)
2人目が、フランク・ロイド・ライトで、もちろん有名な帝国ホテルを日本でつくった方です。
(パワーポイント8)
この人なんかはそれをさらに発展させて、のっぺりしたブロードエーカーズというようなモデルプランを出しているわけです。これは非常に低密度の宅地でありまして、移動にはマイカーとヘリコプターを使うというようなつくりになっているわけです。もちろんこれはこのまま実現したわけじゃありませんが、こういう都市がすばらしいというのが現時点まで都市をあちこちでつくってきた1つの考え方なわけです。そうやって郊外が開発されてきました。(パワーポイント9)
ただし、その結果として車の移動が中心になりますから、町の中が車だらけ、車のためのスペースだらけというのが必然的に生じます。こうやって幹線道路もそうですし、市街地の道路もそうですし、あちこちに駐車場を含めると、例えばロサンゼルスなんかだと、地面の大体70%が道路か駐車場、残りの30%で暮らすなり、ショッピングするなり、働くなりしているんです。一体何のための町なのかという感じがしますよね。
(パワーポイント10)
それに対して、3番目のコルビュジェは結構前の人ですけれども、郊外を開発していくというよりはむしろ都心、都心に問題があるのはよくわかるけれども、その都心をつくり直そうじゃないかという思想に立つわけであります。(パワーポイント11)
こういうビルでおわかりのように、集合住宅で高層利用する。そして、『輝ける都市』なんていう名前の立派な著書があります。バイブル的な著書です。こうやってスカイスクレイパーズを使って高度利用する。高さを生かして使っていくことによって周りに空地を生み出す。空地の中で緑地や、現代的にいえば防災の空間等々確保していく。こういう都市観であります。
(パワーポイント12)
これはアメリカ、マンハッタンのスカイスクレイパーズですが、それはこういう考え方の延長線上にあるわけですし、またアメリカのみならず、世界じゅうの都心はおおむねそういう考え方でつくられているわけです。
(パワーポイント13)
これは香港の例ですが、マンハッタン以上に高密な開発が行われるわけです。
(パワーポイント14)
そういう中で、時代がずっと下って1960年代になると、ジェーン・ジェイコブスという思想家といいますか、ジャーナリストが出まして、その時代の都市というものに対して非常に批判的な著作を書きます。『アメリカの大都市の死と生』という都市計画をやる人は必ず読むというバイブル的なものですが、そういうのが出てきた。そこで彼女は何をいっているかというと、1つには、コルビュジェ的な都心の再開発というのは、ビルの中ではそれなりの密度になっているけれども、その外側に空き地がいっぱいできる。その空き地は実に閑散としていて、犯罪の巣になるということをいった人です。
それからまた反対に、郊外を住宅地としてのみ開発すると、その住宅地には夕方は人が帰ってくるけれども、昼間は人がいない。ベッドタウンになるんですね。そうすると、周り近所とのつき合いもなくなるし、いわば人間疎外だ。彼女は、都心はオフィスで郊外が住宅という使い方ではなく、都心に住宅もオフィスもあるし、郊外も住宅だけではなくて、そこに働く場がある。つまり職住が一致なり近接なりすることが重要であるといういい方。そして犯罪をなくしていくためには、どういう場所でも常に人の目が行き届いてにぎわいをキープできるような使い方がいい。こういうことをいうわけでございます。
(パワーポイント15)
そういうことでありますが、ちょっと話を変えて今度は地球環境時代の都市の姿ということでお話しします。
この図は各交通の機関別にどのくらいCO2負荷があるかということですが、これはいうまでもなく、普通の乗用車に比べて鉄道や地下鉄や新交通、そういったたぐいの集約型の公共輸送というのは大体10分の1のオーダーなんですね。したがいまして、上手にそういった集約型の公共交通を都市交通の基幹に用いていくと、都市全体の負荷も減るだろう、こういうことになります。
ただ、集約型の交通機関というのは需要がそれなりの量、確保できないと、もちろん意味がありませんし、また事業的にも苦しい。だから、都市の姿というものも集約型交通にふさわしいものにしなければいけないだろう。つまり、都心の核になる部分はある程度密度高く、そして路線上のところも密度高く、路線と路線の間はむしろ抑制して低く、こういうフィンガー状といいますか、ヒトデ状といいますか、そういったつくりの都市がいいではないかということがいわれ出します。
(パワーポイント16)
もう1つ、密度と交通エネルギーの負荷ですが、横軸が都市の人口密度でありまして、縦軸が環境負荷、東京はちょうどここに位置しておりまして、密度が高くなるほど環境負荷がグーッと落ちていく。そのグーッと落ちていく最後のあたりに東京やシンガポールがいるわけです。そして、もっと人口密度が高くなると、バンコクとかジャカルタでありますが、そこまで人口密度を上げても、別段環境負荷はうんと減るわけじゃない。すなわち、先進国の目標では大体こういったところあたりが1つのモデルだねということになっているわけです。ほかに東京と似たあたりの町を見ますと、ストックホルムであるとか、ミュンヘン、ウィーン、ロンドン、アムステルダム、クアラルンプール、ハンブルグ、ブリュッセル、こんなところが比較的負荷の小さいグループです。それに対して負荷が大きいグループは、人口密度でいうと、半分とか3分の1ぐらいになる。サクラメント、ヒューストン、サンディエゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスというようなアメリカの都市になるわけです。
すなわち、アメリカ型の都市か、東京ないし西欧型の都市か、この辺の都市間の違いが大きな差になってくるわけです。
(パワーポイント17)
アメリカ型の都市といっても、シカゴなんかですと、都心部は無限の密度を使っているわけでありまして、私もこれをはかったわけじゃございません。梅沢先生に聞いたら、容積率2000%とか3000%ということでございまして、このくらい密につくろうと思えばつくれるわけですね。
(パワーポイント18)
そういうふうに都心部を密度高く使ってコンパクトなつくりにしていく。それがコンパクトシティ。これが環境時代にすばらしいんではないかということでいろんなところで議論されるところであります。
ヨーロッパ、あるいは中国もそうですが、城壁都市を持っていたところでは、この内側を密度が高く、外側を密度低くというのは比較的わかりやすい概念で、普通の方々にも理解しやすい。そんなところからコンパクトシティというのも受け入れやすいわけでございます。
(パワーポイント19)
近年つくられてきた住宅地でも、郊外の住宅地でもよりコンパクトなものにつくるというのが1つのトレンドのようだと聞いております。
これはワシントンの郊外のケントランドというトラディショナル・ネーバーフッド・ディベロップメント、TND、伝統的近隣住区開発ということに訳すんでしょうか。1つ1つがジョージア風の建物で、別に1戸建てじゃなくてくっついて建てられている、比較的コンパクトな密度の高いつくりになっています。というふうに、都心についても、郊外についても、ある程度の密度を確保するということによって環境時代にふさわしい町になるだろうということがいわれるわけです。
(パワーポイント20)
同時に、そのときには交通とのリンケージというのが重要ですので、例えば、これは幹線道路があって、バス停がある。そのバス停の近所に商業だとかオフィス、そういったところを固めていく。その外側に住宅。そのバス停のそばに固めていくということがいわれます。こういうのをトランジット・オリエンティッド・ ディベロップメント、TODというふうにいい始めたわけです。
現在TODといった場合にはバスストップの近所でのマイクロスコピックな意味でのTODだけではなくて、都市の構造や全体のことについて、あるいは鉄道駅を使ってそこに重点的に開発をやる。これもTODの一環といっているところでございます。
(パワーポイント21)
そして、そうやってコンパクトに町をつくったら、その町の中ではなるべく徒歩で動けるようにする。徒歩で動ける圏域、地区の中を快適なものにするということや、あるいはそこにこういったようなLRT等を入れて快適な空間をつくる。トランジットモールですが、そういうものが可能であれば望ましいのではないかという価値観になってくるわけでございます。
(パワーポイント22)
現在、法律もございまして、国で都市再生をやっているわけですが、一般的に現時点で都市再生というと、こういったようなイメージじゃないかと思います。これは日経新聞に出ていた広告でありまして、ごらんのとおりウルトラマンでございます。ウルトラマンがスコップを持って、遊休地があるから、それを助けてくれるというわけです。要するに遊休地を助けるぞというのが都市再生。(パワーポイント23)
現在いわれている都市再生というのは、低利用地や未利用地を活用していこう、そこで民間投資によって経済活性化をしていこう、そしてそれは資産デフレ対策にもなる、それを円滑に効率よく促進するために、いろんな制度を充実していこう、こういうことでございます。これはこれで結構な話で、進めていただきたいところであります。
(パワーポイント24)
実際、ご関係の方がこの中でもいらっしゃると思いますが、六本木六丁目の森ビルでおやりになっているプロジェクト、大変すばらしいものといっていいと思いますし、こういう手法ならでは、環状3号がようやく開通ということになるわけですし、これもマンションがここに建っておりまして、全体の床面積の3割を住宅が占めるという都心居住という意味でも、なかなかに先進的なものでございます。
(パワーポイント25)
そして都市再生プロジェクトの第1次決定から始まって、第2次決定、第3次、第4次、こんなふうに進められつつあるわけです。
(パワーポイント26)
実際、どういった都市の姿がいいのかというのも、ここまでるる説明してきましたように、コンパクトな市街地がいいというのが国のいろんな審議会等でも検討されておりまして、土地利用密度を高めることによって市街地の広がりを縮小していく。複合的に土地利用を実現する。すなわち、ここはオフィス、ここは住宅ということじゃなくて、密度の高いところにいろいろ入れていく。従来の枠組みにとらわれないようなつくりがいいだろうということがいわれております。
そこで、こうやってのっぺり広がってしまった町を密度を高くするところは高く、低くするところは低くと、こういうメリハリですね。ただ、我が国のここまでの制度のつくりや、人々の物の考え方からすると、物を、プラスアルファでつくっていくところに対しては非常に熱心ですが、マイナスアルファで引いていくところとか抑制するということに対しては、権利意識が強くて、なかなかどうなるか不安なところはございます。少なくとも従来はそうでしたね。
ただ、これから人口が減っていくという局面では、これまでよりはこういったようなメリハリのきいた土地利用の姿をつくっていくのが、より易しくなるんじゃないかとは思います。
(パワーポイント27)
それからまた、大都市圏におきましても、コンパクトな町というのは、現在新宿とか渋谷とか、いろんな拠点がノッペリと広がっているのを、なるべくそういうところで局所的に密度を高くしていこうということもいわれつつあるところでございます。
(パワーポイント28)
そんなことで現時点までで、これからの都市のあり方がどんなふうがいいかということで、持続可能性、コンパクトシティ、公共交通志向型都市整備、都心居住、多用途性、つまり、ミックストユースというところがキーになるかと思います。
(パワーポイント29)
大もとを振り返ってみますと、都市というものに対してやはり先ほどのような遊休地を何とかしよう、資産デフレ対策を何とかしよう、民間活力による活性化を何とかしようというたった今の関心のみならず、もう少し長い目で見たときの思想も持ってなきゃいけないわけです。
都市はこれまで少なくとも2000年かかってつくられてきたわけですし、これから2000年かけろとはいいませんけれども、1年、2年でどうこうするというよりはもっと長い目で見ていいものを少しずつつくっていく、そういう必要もある。
そのときもちろん忘れてならないのはベーシックに、生活の質を高める。第2に、財とサービスとは文化の基盤を充実させるということ。それから、現在の都市では特にそうですが、都市の国際競争力を確保する。そのために何をしなきゃいけないかという思想が根本中の根本かと思われます。
(パワーポイント30)
そんなことで、これから都市再生をやるに当たって、私なりにどうしても必要だと思われる視点は何かというと、次の3点にあるのではないかと思っております。
1つは、伝統の継承ということであります。2つ目は、新陳代謝。3つ目は、問題解決ということであります。
新陳代謝につきましては、開発をしていこうという考え方の方々からすればそんなに違和感ないのかと思いますが、同時に伝統の継承というようなことを常に頭に置いておかないと、どこもここもキンキラしてはいるけれども、何回も行ってみようとか、そういうことにはならない。その地場性、風土性、そういったものを大事にしなければいけないことは大事なポイントではないかと思います。
(パワーポイント31)
その伝統の継承というのを少しヒント的に申し上げますと、例えば、こういうことであります。これはオランダのある小さな町です。あそこは戦争でグチャグチャにやられた町ですから、もともとはこんな格好してないんですけれども、運河があって、ここに自転車に乗っている人がいますが、自転車と運河というのはオランダの代表的伝統です。運河の町ということは町自身も運河に向いてなきゃいけないわけです。運河に背中を向けて町をつくったら、それはもう運河の町とはいわないですね。運河に向いて新しい建物、これは住宅ですが、建てて、そして橋をかけても、それは重要な我々の交通手段は自転車であるというメッセージを必ず維持する。こういうところが伝統継承への配慮の1つじゃないかと思います。
(パワーポイント32)
また、どの町でもこういう文化的な資産があるとは限りませんが、例えばシドニーでは、かつてのウォーターフロントですので、倉庫がいっぱいある。その倉庫をこうやって、これはアウトレットモールみたいなものですが、商業施設に転用していく。そのようなことは常に重要です。日本でももちろん、横浜の赤レンガ等々が活用されつつあるところではあります。
(パワーポイント33)
また、これは松坂の武家屋敷です。こういった伝統的な建物あるいは地区を保存しつつ、そこに集客力を持たせ、そして都市を活力あるものにしていく。こういったものとの折り合いのつけ方というのも忘れてなりません。
(パワーポイント34)
中国の都市はどんどん変わっておりまして、例えば北京、例えば上海ということになりますが、上海はご存じのとおり高層の建物が次から次へと建っております。中国の方々は決してそれだけで都市再生をやっていこうといっているわけじゃないで、上海からわずか数十キロくらいですぐ行ける重要な観光地なんですが、周庄という運河の町がありまして、観光スポットです。これはたまたま白黒写真なので古くさく見えますが、新しい撮ったばかりの写真でございます。
小さな運河があって、小さな家がいっぱいあって、お金をすぐにかけては大変なので、少しずつリノベーションしていく。しかし、それは伝統を継承しながらリノベーションしていく。こういった文化の保存という都市再生と、それから上海のようなどんどんやる都市再生がセットになってやられていると思われます。それでこそ本当の集客力が出るわけです。
(パワーポイント35)
次に、新陳代謝であります。これはパリのシャンゼリゼ通り。凱旋門から、シャンゼリゼ通りの西の方に向いたところであります。パリの町はいうまでもなく、高さの規制やファサードの規制、あるいはこういうバルコニーをつけるということの規制、もろもろの伝統を継承しようということを強く意識している町ですが、それと同時に、新しい血を常に入れるということに対しても、非常に積極的でございます。
この写真で向こうにグランダルシュが見えまして、ラテンフランスの再開発地区であります。もちろん、これはパリ市ではないんですが、どこからでもこのグランダルシェが見える。このグランダルシェと凱旋門とが一直線に並んでいるというあたりも、パリに新しい血を入れようというのを強く意識していることがわかるかと思います。そのほかにも、皆さんご存じのとおり、ポンピドー美術館等々おもしろいのがいっぱい入っているわけです。そういう新陳代謝というのを忘れてはならない。
(パワーポイント36)
これはロッテルダムの町で、LRTが写っています。そのLRTとその下に地下鉄が走っていて、そのまた下に郊外の国鉄が走っていて、その上に、これが道路ですが、道路の上に住宅をかぶせる。これは建築家の名前は忘れましたが、こういう変わった建築をつくるのが上手なデザイナーがつくったものでありまして、住宅であります。住み心地はいかがなものかと思いますけれども、少なくともここが名所になることは間違いないですね。そういうおもしろいことをやって新陳代謝を図っていく。これが2つ目のポイントです。
(パワーポイント37)
それから、3つ目が、先ほど申し上げた問題の解決ということであります。問題というのは、るる説明するまでもないくらい日本の都市及びその都市の交通には問題が多いわけです。例えば、東京等の大都市ですと、木造密集市街地が、環状6号と環状7号の間付近には膨大な量がございます。しかも、それはどだい何やったって無理だといって、ほったらかされてきたところであります。
それから、国際拠点としての地位の低下、これも歴然としておりますし、また郊外の荒廃、今日は駅を中心のお話なので、詳しい写真は見せませんけれども、日本の市街化調整区域ぐらいひどいところはないわけで、市街化を抑制するなんていうのはあくまで建前であって、幾らでも何でもOKというのが実態であります。その結果としてどんな町の郊外に行っても全く同じ姿になってしまったわけです。しかも、それは建前としてはやらないことになっているのを放置した結果ですので、全く秩序のない状態になっているわけであります。
同じように、地方部も荒廃するだろう。海外から観光客を呼ぶということは今大事だ大事だといわれておりますが、日本の観光入れ込み客数は、日本から出ていく人の4分の1しかいない。韓国よりも少ない。実に少ないです。
そういう人たちにいろいろ調査しますと、日本の魅力はどういうところに感じるかというと、もちろん京都、奈良は1回は行きますけれども、あんなのを何回行ったってしようがないという感じなんですね。むしろ魅力があるのは地方、田舎、農村なんですね。ところが、そういうのを日本はいとも簡単に壊してきちゃったところがありまして、これから本当に観光を振興しようというんだったら、田舎を大事にしなきゃいけない。その流れとして都市の郊外の荒廃というのにも神経を使わなきゃいけないところであります。
それから、貧困な道路インフラとその運用。道路インフラそのものも非常に貧困ですし、その運用の仕方も実に問題が多いわけです。例えば、外郭環状道路が今もってまだできないなんていうのはいかにしたことかと思うべきだと思います。
反面、日本の1つのポテンシャルとして考えられるのは、東京、大阪、名古屋あたりですと、都市鉄道が健全に運営されていて、しかもその輸送シェアというのは世界に類のないぐらい高い水準にあるわけです。それによって、東京や大阪や名古屋というのは世界に類のないくらい交通環境負荷の小さい町になっているわけでありまして、いろんなほかの国が、一体どういうふうにしたら東京のようになれるのかというんですが、別にノウハウなんかないんで、成り行きでこうなっただけなんです。成り行きではありますけれども、そこでやってきたノウハウ。プラスのレッスン、マイナスのレッスンを大いに生かして、こういった問題の解決に持っていく必要があるわけです。
(パワーポイント38)
まあ、そういった問題がありますが、少し写真を見ていただくと、木造密集市街地、こういうところがいっぱいあるわけです。もちろんこういう場所は、中に入ってブラブラする分にはそれなりに楽しいところでありまして、決して私はこれを全部撤去して区画整理やればいい、そういう意味で問題だといっているんじゃないんですが、少なくとも防災性の向上なんていうのについては、やっぱりいろんな手を打たなきゃいけない。建物の補強もあるでしょうし、あるいは消防車が入ってこれないなら、そのほか警報システムであるとか、避難のシステムであるとか、あるいはスプリンクラーのシステムであるとか、いろんなほかの国の密集地でやっているようなこともやればいいんです。ところが、それを日本は放置してきたわけであります。
(パワーポイント39)
それから、道路についても問題が多いわけでありまして、これが日本の典型的郊外の道路風景であります。狭い道、歩道もありませんね、そこを通学の子たちが歩いている。そこはマイカーは仕方ないにしても、こんなトラックなんかがばんばか入ってくるという状況であります。
こういうのを見ると、普通の人は道路が悪いんだとは思わない。トラックが悪い。よく考えてみたら、これは道路が悪いからこうなるんですね。歩行のスペースがまずない。歩行者に対して余りにもテーク・ケアがなかった。それから、こういう大型のトラックがこういう市街地を走らないで済むような幹線道路を整備してきたか。じゃ、地方部、郊外部において、高速道路をこういうトラックが十分使っているかといったら使っちゃいないんです。やっぱり料金が相対的に高くて運賃負担力がないんです。要するに、使えるような高速、あるいは使えるような幹線道路をつくってきたかというと、大いに問題がある。こういうような写真を見て、日本の市街地と道路整備は猛これ以上何をすることもないんだと自信を持っていえる人はあまりいないんじゃないかと思います。
そういうところに対するアピールもやっぱり足りなかったんじゃないかと思います。
(パワーポイント40)
そういうふうに都市再生というのは、いろんな問題がある都市の、そういう問題を解決しつつ、しかも、都市に新しい血を入れ、しかも可能ならばいろんな伝統を継承しつつ、そういった3つの軸を上手に組み合わせながらやるのがいいのではないかと思います。
それでは、続きまして、3番目、拠点鉄道駅ベースの都市再生についてお話を申し上げます。これは趣旨としましては、先ほどご紹介したTOD、トランジット・オリエンティッド・ディベロップメント。公共交通志向型都市開発の1つのパターンとして、比較的大きな町の拠点的な鉄道駅を中心に、都市の再開発を進めていく、こういう文脈であります。
(パワーポイント41)
そういったTODのほかにも、交通という面から都市再生に寄与できるものとすると、交通インパクトアセスメントとか、TDMとか、あるいは交通整備そのもの、あるいは自転車や歩行者の環境を充実する。こういったものがいろいろあるんですが、その1つとしてTODをご紹介します。
(パワーポイント42)
拠点鉄道駅の開発というと、いろんな例がありますけれども、比較的最近オープンしたものとしては、札幌の駅がございます。これはJRタワーといわれている開発です。札幌駅がありまして、この右の方に行くと大通り公園等がある。ここに高架橋が見えていますが、もとはこの鉄道駅、地平だったのを高架化して、同時に、ここにあったビルを撤去して再開発をやる。ここに非常に高いタワーをつける。こういう非常に空間的にリッチな駅前広場をつくってございます。
(パワーポイント43)
そこにコンテンツとして入るものは、ここにございますように、百貨店やレストラン、シネコン、商業施設。もちろん下に駅施設があって、上の方にオフィス、それからスパ、温泉。それからホテルがあって、展望台。さすがに住宅はないですね。こういうようなつくりであります。
(パワーポイント44)
もとは札幌駅の前にはこういうビルがありました。これは何のビルだったかというと、JR北海道の本社でありまして、その前は国鉄の札幌鉄道管理局のあったところであります。一番使えて便利な場所に鉄道の事務的な床があった。考えてみればナンセンスな話です。今JR北海道の本社は隣の桑園という駅に移転しております。それが現在のようになったわけです。
(パワーポイント45)
ほかの駅ビルと比較してみますと、これがJRタワー、169メートルありまして、新宿のタイムズスクエアは77メートル、高島屋ですね。それから京都駅ビルが、いろいろと規制がございまして60メートル。名古屋のセントラルタワーズが230メートルと245メートル、こういったようなものの中ですので、札幌としてはなかなかの風格のものをつくっておるんじゃないかと思います。床面積26万平米、新宿が17万、それから京都が24万。そして、名古屋が40万、このくらいの床面積になっております。
(パワーポイント46)
もう1つの例を申し上げますと、上野駅であります。これをJR東日本の方々はステーションルネッサンスという用語をつけて、比較的大きな駅を中心にその中の空間の整備をやっております。この駅は昭和7年につくられたものでありまして、2層になったアクセスルートを持ち、当時としては大変モダンな建築物になっています。中国の大連に行きますと、大連駅というのがありますが、それはほとんど上野駅と酷似していまして、かえって向こうの方が懐かしい感じがします。お寄りになった方はごらんになるといいと思います。
(パワーポイント47)
このステーションルネッサンス、上野でやられたものをご紹介しますと、ここに商業施設、この辺にもレトロ館とか、いろんなものをつくっているわけであります。駅の施設を新設したり、アトレ、1階の店舗をつくったり、3階には店舗のディラというのをつくったり、いろいろしております。
(パワーポイント48)
空間の中を見てみますと、高架下はこんなに美しく変わりました。左右にはいろんな店が出ている。
(パワーポイント49)
もとはこれですから、こういう業務用のスペースを使って、あるいは商業用の空間、あるいはアメニティ空間に変えていくというものであります。
それから、これも駅の裏手のところでありますが、駅の業務施設だったのを、そこをこういうふうに変えて、地元の方々と一緒に入っていただいて、商業施設をつくるというものであります。
(パワーポイント50)
それから、この駅舎は、さっきいったように少し歴史的な価値が高いものですので、一時期上にプレハブを建てて、職員の宿泊所みたいにつくっていたのを、わざわざ撤去してもとの姿に戻すということもおやりになっているようであります。
(パワーポイント51)
それからまた、こういう空間は、屋根が薄暗いんじゃしようがないというんで、太陽の光を通すような工夫をして、非常に明るい空間をつくるというものであります。そういうのが、大都市圏の大きな駅を新築、再開発したり、あるいは既存の建物の中を再構築するというものです。
(パワーポイント52)
次は、山形新幹線の新庄延伸に合わせて新庄につくられた施設であります。駅と一体的に地元のコミュニティ施設のようなものがつくられています。新庄というのは非常に小さい町ですけれども、これがこの町の最も集客性といいますか、拠点的な施設になっているわけであります。
(パワーポイント53)
その中にはこのような人の集会するスペースがあったり、参加型の科学館やシネマなど物産館があったりします。
(パワーポイント54)
次は京都でございます。これは原広司さんの設計で大変すばらしいものです。外観もさることながら、やっぱり何といっても内部空間の雄大さは例を見ないものでありまして、非常に大きな吹き抜け空間が通っている。両側、東西に階段状のスペースをつくって、そこでイベントをやったりする。上にはスカイウォークをつくって、上からこの空間を眺めることができるというものであります。
もっともこういうすばらしい空間ではあるんですけれども、床面積は比較的に限定されておりまして、またお金もかかり事業としては非常に大変なものがあるかもしれません。
しかも、こういったものを京都というのは土地柄だから、ほかに客を呼べるものがいっぱいあるから、別に地元の負担もなしで鉄道会社だけでやったわけです。本来ならばこういうものは公共空間の性能も合わせ持つわけですから、地元の自治体やその他もろもろとのコンソーシアムを組んでやるということが大事じゃないかと私は思います。
(パワーポイント55)
人が集まる鉄道の駅を単に駅として使うんではないというのは、日本のある種のお家芸みたいなものがあります。
それをまねしてやっている例がだんだんふえておりまして、これはドイツのライプチヒという駅の例です。ライプチヒは旧東ドイツのエリアです。私も初めてライプチヒの駅に行ったのが1988年ぐらいでした。それはもう悲惨なもので、もちろんこんな開発はされてなくて、薄暗くて、駅こそ大きくて外から見るときれいなんだけれども、中に行ってみるとひどいものだったんです。不思議なもので、そうやって停滞していて、放置されていると、こうやって統合した後、じゃ、そこを使って再開発してみるかなんてことが起こるんです。
このスペースはもとはコンコースでした。向こうの方に列車がたくさん並んでいる頭端駅のコンコースです。そのコンコースの空間を掘り下げて、地下2層にわたって大きなショッピング空間がつくられております。これは日本的にいうと、じゃ、それはJRでやればいいじゃないかという話になるんですが、ドイツの鉄道は旅客数が少ないですから、そんなことはしないで、空間は提供するけれども、この建設そのものの事業は市でやるということをやります。
市といっても直轄事業というよりも多分、PFI的なものじゃないかと思うんですが、そこにいろんなこういう商業施設が入ってくるということであります。
そのほかにも、拠点駅を使って再開発をやっていくという海外の例を幾つかご紹介いたします。
(パワーポイント56)
これは、イギリス、ロンドンのリバプールストリートという名前の駅であります。この駅はロンドンから北東の方向に行く鉄道路線でありまして、幹線がうんと走るというよりは郊外ないし中距離路線が走る路線の駅であります。
ここのところが駅の入り口で、平たくなっているところの下にホームが並んでいるわけです。向こうの方向に線路が伸びているわけです。周りにちょっとおもしろい姿の広場があったり、開発がされています。こういった開発が、この駅の上空の容積を転用しながら、重点開発されているわけです。この一帯をブロードゲート地区と呼ぶ非常に有名な開発事例であります。
駅の中はこんなふうになっております。コンコースがあって、これは地上であります。一段下がったところにこういうコンコース空間がつくってある。これは中長距離のみならず、地下鉄との乗りかえ駅ですので、非常にたくさんの人が利用するところです。
(パワーポイント57)
外から見ますと、こんなぐあいで、こっち側が頭端駅の正面になりまして、ここに線路が並んでいるというつくりです。
周りのビルもオフィスやショッピングのエリアになっているんですが、大変おもしろいビルがつくられています。
(パワーポイント58)
それから、さっきのは線路上空の空間を活用して、その周りで開発したというものです。同じくロンドンで、隣のチャリングクロスという駅ですが、これも駅そのものは大した駅じゃないんですけれども、頭端トウタン式のホームが4線ぐらいあるようなところです。もとは単なるドーム型のホーム上屋があったんですが、それを再開発して、こういう、上空を利用してデッキを張って、オフィスをつくるというようなことがやられたようでございます。周りのビルとの調和もありますので、そんなにべらぼうなものはつくってございませんけれども、やっぱり細部テムズ川対岸の観覧車、ロンドン・アイからよく見えます。大変新しいデザインを入れて、1つの新たな名所をつくろうという意識が非常に強く感じられます。
(パワーポイント59)
その次、パリのモンパルナスの駅の例を紹介いたします。モンパルナスは非常に重要な駅でありまして、TGVのアトランティック線、というのが発着するところでありまして、1989年に開業しました。もとはつまらない駅舎だったんですが、大変に新しい斬新な姿の駅舎をつくりました。中はアトリウムの見通しのいい空間になっています。
(パワーポイント60)
実はこれはちょっと古い写真でありまして、前は線路の上空はこのように特に使われないでおりました。それが今はこんなふうになっています。線路の上空に人工地盤を張って公園にしちゃった。その公園も単に人工的な公園ということを感じさせないくらい木がいっぱい生えていて、噴水もあって、地面の上の公園だと思い込むようなつくりであります。
(パワーポイント61)
ただよく見ると、端のところにこういうデッキが張ってあるのがわかりまして、ここはホームの上の空間とわかります。(パワーポイント62)
この場合は線路の上空を公園にする。これはもちろんパブリックセクターの仕事です。ただ、そうすると、フランス国鉄としては、その上空の開発権はどうしてくれるんだということになりますから、その容積を使って駅の両側に、ずっと続いているこの辺とかこの辺に新しい再開発ビルをつくっていまして、そこに容積を活用しているというものであります。
私は、この後渋谷のお話をする際にも申し上げますけれども、拠点的な鉄道駅、車を使わないで来る人がたくさんあるような鉄道駅の空間は、今よりももっと重点的に容積を活用した方がいい、ふやした方がいいという考えを持っています。ただ、それは何も本当に駅の上に使うとは限らないです。その容積をその近所で使ったって構やしないです。そういう柔軟なことをやっている例としてこのモンパルナスと先ほどのブロードゲートを紹介させていただきました。
(パワーポイント63)
それから、これなども梅沢忠雄先生によく教えていただく例なんです。フランスのリールの駅であります。ここに古い駅が出ていますが、これは頭端式の駅で、昔からあるリール駅であります。ところが、ロンドンとパリを結ぶユーロスターが開通してこの辺を通るんです。そのときに新しい駅をつくろう、ここの部分にTGVといいますか、ユーロスターの駅が新設されました。それを機会にして新しい開発をこのエリア全体で、すなわち旧駅、今だと通勤線のこの駅と新しい新幹線の駅の間の空間を全部使って、拠点的な開発をしているわけです。
どんな開発かというと、ここはショッピングモールです。それから、新しい駅の上空にオフィス棟とホテル棟をつくっているということであります。
(パワーポイント64)
これは新しい駅の方を見たものですが、これが鉄道の駅でありまして、これが線路上空を全部カバーして、そしてそこに電車が走っている。それをまたぐようにして、多分こっちがオフィス棟だと思いますが、オフィス棟とホテルができている。わざとまたぐ構造にするというところが奇をねらっているんじゃないかと思いますけれども、そういうつくりであります。
(パワーポイント65)
それから、この例は少し古過ぎて、どなたもご存じの、パリのレアールです。これはもとは市場だったんですけれども、その市場をやめて、郊外移転したときに、それを活用して商業開発と駅の新設をやっている。上から見るとこんなふうになっているんですが、もうちょっと近寄りますと、こんなふうになっていまして……。
(パワーポイント66)
これが地上です。地上から地下4階までずっと掘り込んでありまして、通常ですと、埋めちゃいたくなるんですが、そうじゃなくて、穴をあけて光を入れられるようにする。上の4層分は商業開発がされていて、その下に鉄道駅がある。それは高速地下鉄、RERというものと、普通の地下鉄と両方走っている。
同時に、地下のプールとか、いろいろアミューズメント施設も合わせつくっているようなところであります。
(パワーポイント67)
容積を使う、そこに商業やオフィスや住宅を入れるという用途的な話ばかりいいましたが、空間をいじるときにはやっぱり風格と美しさが感じられるものでなかったら、ダメですね。
これは別に駅じゃなくて、パリのラファイエットデパートの中ですが、こういったような美しさに凝る、そういうところが大事じゃないかと思います。そういう意味で駅の中のデコレーションにうんと凝っている国もあります。(パワーポイント68)
これはスウェーデンのストックホルムの地下鉄であります。これは岩盤の中をくり抜いてつくっている地下鉄なのでゴツゴツしているんです。各駅、各駅、公募でアーティストを決めて、そのアーティストがいろんな照明と壁面のデザインをするということをやっています。非常におもしろい幻想的な空間がここではデザインされています。ほかの駅は非常に明るい駅とか、楽しくなるような駅とか、いろんなことをやっています。
(パワーポイント69)
先ほど大変密度の高いシカゴの例をお見せしたんですが、私も、どうしてそんなに2000%とか3000%というのが実現できるのかなと非常に不思議に思いました。いろいろ勉強させていただきまして、耳学問をご紹介させていただきますと、これはシカゴです。シアーズタワーもありますし、ハンコックタワーとか、いろいろあるわけです。
(パワーポイント70)
ここにありますでっかいタワー、これなんかの内訳がどうなっているかというと、100階ぐらいまでありますか。その中でここら辺にオフィスが入って、下に商業が入って、ここに住宅が入って、上にレストランと展望台、こんなになっているんだそうです。
つまり、パッと見ると、オフィス棟に見えちゃうんですが、実はここで半分は住宅なんです。もちろん大変なお金持ちが入っているそうです。このビルの中を見てみると、下の方が商業で、それからオフィスがあって、ホテルがあって、ここがマンションということであります。
(パワーポイント71)
そういうようなミックストユースにしていくと、2000%だろうが、3000%だろうが、どうも大丈夫なようですね。そういうふうにして土地の生産性を上げていくというのが、全国どこでも通用する手法じゃありませんけれども、少なくとも東京の、しかも、拠点鉄道駅周辺なんていうところには十分使える話ではないかと思います。
(パワーポイント72)
続きまして、渋谷の話を少しさせていただきたいと思います。
これからお話しするのは、まだまだ検討中の話でありまして、私を含めたグループではこういうふうに考えているというだけで、何が決まっているわけじゃないので、その辺はお含みおきいただきたいんです。
この渋谷というのは、予定では5年後になりますが、地下鉄13号線が池袋からずっと入ってきて、新宿、新宿3丁目、明治通りの下を通って、渋谷の東口広場の下に入ってくるわけです。
そして、さらにその5年後になりますと、東急東横線がその13号線と相互直通運転をする都合上地下に行く。東横線が、ここにある地上の駅を明治通りの下に入れてしまう。代官山付近からずっと下に入って山手線の下をくぐって明治通りの下に入ってそのまま13号線に直通する、こういうプロジェクトがございます。恐らくこれは実現します。
そうすると、そのときに現在の東横線の駅、4線分ある駅が空くわけであります。その手前にある細長い線路敷き、これも空くわけであります。その「空く」というタイミングを利用してこの渋谷をさらに元気にしていく、次の世代も元気にしていく手は何かという検討をしているわけであります。
(パワーポイント73)
写真で見ますと、こんなふうになっております。これが東横線の駅です。ここにマークシティが見えます。ここにセルリアンタワーが見えます。これが国道246号線と、首都高速3号線です。そして、ここに明治通りがありまして、明治通りと246の交差点は渋滞ポイントとなっております。東口側に広場があり、西口側にも広場があり、ここがハチ公前広場というぐあいになっています。銀座線が3階のレベルで駅の中に入っているという姿であります。
もう1つ、ご注意いただきたいのが、渋谷川というのがこの辺を流れております。東横線に並ぶような姿で流れている。現在は単に、ドブみたいなものですから、皆さんあまりごらんになったことないんじゃないかと思います。上流に向かうとそれが地下にそのまま暗渠になっていまして、ちょうどこの広場の下あたりを通って、東横デパートの下を通って、宮下公園の方向に行きさらに原宿に向ってキャットストリートの下を通るという姿になります。
(パワーポイント74)
この写真でおわかりのように、周りにそこそこ高度利用されているビルが見えつつあるんだけれども、駅の近所というのは実に低利用しかされてないのがおわかりになるかと思います。
渋谷の町を少し振り返っておきますと、いうまでもなく、私のところの学校の教養学部がありますし、青学もあるし、國學院もあるし、学校のいっぱいある町で、また子供もいっぱい来る関係で若者の町なんていわれているわけです。
(パワーポイント75)
駅を出ますと、こっちがハチ公前広場。でっかい画面のスクリーンがあって、これが好きか嫌いかは別ですけれども、活気があることは間違いないです。
それから、センター街とか、そっちの方に行きますと、けばけばしい若者の町になっておりまして、中年以上になりますと、居心地の悪い町ですが、にぎやかであります。いろんなインタビューとか、トレンドをつかむなんていうときには必ず渋谷と新宿が使われるそうです。
(パワーポイント76)
夜になるとこんなふうになりまして、怪しげな連中がいっぱい出てくる。町のつくりを見てみますと、現在も比較的コンパクトなつくりになっています。ここが駅の中心ですが、赤や青が商業施設あるいはオフィス施設でありまして、真ん中にまとまっている。黄色やグリーンは住宅でありまして、松濤地区の高級住宅あるいは桜丘地区、青山の方。比較的近所まで迫ってきている。つまり、高度利用するところが比較的にコンパクトなんです。住宅も周りにある。すなわち、これだけで職住近接型のつくりになっていますね。だから、このつくりを壊す必要はない。やっぱり周りが低層で、住宅として使っているというのはそれはそれでいいこと。ただ、中心をもっと盛り上げて使う手はないかねということです。そういうふうに私は思います。
(パワーポイント77)
住宅地を見ますと、これは松濤の側になりますか、緑豊かとはいいませんけれども、それなりに落ちついた町並みになっている。
もう1つ渋谷の特徴は地形にございます。ここは駅の中心で、道玄坂が台地、それから宮益坂側の台地。NHKのある側の台地。この3つに囲まれる台地になっておりまして、ここが谷になっている。その谷を渋谷川が流れているわけであります。
(パワーポイント78)
その結果、坂が出きる。これはスペイン坂です。細い道がでこぼこしていますから、大変に陰影のある町をつくろうと思えばできるわけです。
ここに銀座線が見えますが、銀座線のすぐ横のところに、皆さんご存じの2階の通路がございます。その通路を渡って東へいくと、宮益坂で地上になっちゃうんです。つまり、歩いているうちに、2階にいたはずが1階になっちゃっている。こういうふうにいたします。こういうのがおもしろいところであります。
(パワーポイント79)
マークシティ側も、道玄坂の一番外れは地上になるんですが、それがマークシティのビルの中にいると、たしか2階か3階になる、そういうつくりになっております。(パワーポイント80)
これが渋谷川でありまして、何でこんなに深いんだと思われる方もいると思いますが、都市河川というのは雨が一気に降ったときにはかなり集中度が高くなりますので、このくらいの断面は維持しないと、防災上危険なようです。 この堀割に面してビルが建っていますけれども、さっきのオランダの運河とはえらい違いでありまして、みんな渋谷川に、背中を向けて暮らしているというのが現状であります。
(パワーポイント81)
こんなふうに考えてきますと、渋谷の持つポテンシャルというのはいろいろございますが、まずコンパクトさ。渋谷川もある。今はひどい川ですけれども、これは「春の小川」という歌がありますが、あれのオリジンは渋谷川だそうでありまして、実際に渋谷川を再生するというのももう既に都市再生プロジェクトに指定されております。ぜひこれを積極的に活用する方向にできないか。
それから、トランジットセンター、すなわち電車が7本も今入っておりますし、そこに13号線も入ってくる。そういうことを考えると、こんなに路線が入ってくる町は、日本では新宿とか似たものがありますけれども、世界ではまずない。そういうのを十分に活用した、世界のほかにないようなものにし得る、そういうポテンシャルがある。(パワーポイント82)
それから、文化の象徴である施設が、今でこそ渋谷だけということにはなりませんけれども、かつては文化会館の一番上になる五島プラネタリウムが、子供のあこがれといいますか、夢を育てる拠点であったことは間違いありません。
それから、挑戦する町、これも渋谷の特徴でありまして、あまりずっと伝統的なものがなかったせいもありますが、次から次へといろんなものを挑戦的につくってきているんですね。もちろん民のサイドで。マークシティの後、セルリアンの後は。次に挑戦するのは何をしたらいいかというのが渋谷でも模索しているところであります。そういう挑戦精神がある町という意味で、ある種のポテンシャルといえるかもしれません。
(パワーポイント83)
これは、昭和35年当時の渋谷の駅、中心部付近の写真でございます。私が昭和30年生まれでありまして、35年当時に世田谷に住んでおりました。休みの日に家族でバスに乗って渋谷に来る。そして買い物を東横デパートでして、その屋上に行って何か乗り物でもありましたかね、遊んで、それからプラネタリウムに行く、というのがなかなかの典型的な娯楽だったような気がいたします。
そのころ渋谷の東急百貨店であるとか、プラネタリウムであるとかは、明らかに輝いていた気がいたしますし、デパートの中に入っていく銀座線の風景、あるいは玉電もある。こういうのも非常にダイナミックな風景としておもしろいものがございました。
この当時の写真を見ると、周りは至って低い土地利用ですから、ここが傑出して、鉄道拠点を重点的に開発した姿になっています。ただ、現状は先ほど冒頭の写真で見ていただきましたように、むしろ周りが立ち上がって真ん中はスカスカとしている、こういうのが実情でございます。
(パワーポイント84)
こうやって見てみますと、比較的大きな開発としましては、センチュリータワーとか、マークシティとかありますが、真ん中はかなり低利用になっているのも事実です。
(パワーポイント85)
さて、そんなことで渋谷に求められるものをまとめてみると、交通拠点の再整備、それが13号線が入ってくる、地下鉄ができる。そしてそれに伴って東横線が下に行ってしまう、空間が空く。それを生かして都市の再生をやりたい。多分渋谷にとって最大でかつ最後のチャンスかもしれない。それを世界に誇れるような姿で魅力のあるものにしていく。そういう開発が求められるであろう。そのためには一体あの中心部をどんなものにするかというのをよくよく考えないといけない。
同時にまた、それは単に夢物語とか、道楽みたいな話じゃ実現しないわけで、事業として実現できるようなものじゃなきゃいけない。これが課題なわけであります。
(パワーポイント86)
いろいろなプロジェクトが今検討されておりまして、東京都の検討、それから区の検討、それから東京国道工事事務所の検討、これはもう大体計画が決まったので、終わりましたけれども、旧運輸省の検討、これが並行して進んで、現在はそれをうまく調整するというステップにございます。
その中で、いろんなこうやったらいい、ああやったらいいというアイデアがあって、少なくとも技術者、エンジニアの中ではこういうふうにするといいんじゃないかということが固まりつつありますので、少しご紹介します。
(パワーポイント87)
まず4階デッキというのがあります。地形がこんなふうになっているのはさっきご紹介したとおりですが、そういう自然の地形を生かして道玄坂の側から、宮益坂の側まで、ずっと4階も出ていて、今の銀座線の上を通る形で歩行者が歩けるデッキをかける。デッキの真ん中辺には少しスペースもとってホッとできるようなものにする。そうすると、1階に来たのにいつの間にか4階で、そこからは電車が走っているのも見えるし、いろいろ楽しい。その中では、うまくやればフィレンツェの橋みたいに、上にコーヒーショップとか、いろんなものがつくれる。そういうことでおもしろい空間ができる。これはほかの地じゃできっこないんですね。こういう名所になるようなものがおもしろいのではないかというアイデアがございます。
(パワーポイント88)
それから、渋谷川につきましても、さっきのような薄汚いドブ川にしておくんじゃなくて、二層河川化して、河川機能は下に、そしてアメニティ機能は2段目に、上につくる。そこには下水処理場で処理した、きれいな水を流してアメニティ空間をつくれないか。そういう構想があります。それを水と緑の軸という名前で呼んでいるんです。
(パワーポイント89)
駅の中心部付近では、駅ビルの中に川を流す、飾りの川を流す。それから、線路に沿っている部分については二層河川にする、こういうようなものです。
(パワーポイント90)
宮下公園の方からこんなふうにしたり、駅のちょうど真正面では、デッキが見えますけれども、下が駅前広場です。ここがデッキになっていますので、デッキのそばを水が流れていくという空間をつくったり、あるいはもうちょっと南側では、現在の渋谷川の空間と現在の東横線の線路敷地を撤去し、それを一体的に再整備することによって、おもしろい空間ができないかというような考えもございます。
(パワーポイント91)
それから、東口につきましては、歩行者の空間をがっちりつくっていこうというプランがあります。
(パワーポイント92)
鉄道についてですが、この黄色いのが東横線の位置でありまして、この紫色が東横デパート、駅です。そしてJRの山手線がこうやって2面2線で走っていて、かなり離れたところに埼京線のホームがあります。これはちょっと問題がございまして、埼京線が余りにも離れている。もう少し北に上げた方がいいのではないか。ほかにもいろいろ技術的な問題があるんですが、上げる方向でプランを我々今検討しています。 山手線が2面2線になっていて、方向によって乗りかえのルートが違うんですね。例えばハチ公前広場の方から来ると、新宿の方に行くのにはポンとこのまま乗ればいいんですが、反対側の目黒の方に行くには、上に1階上がっておりなきゃいけない。これはいかにもどう動線処理上ぐあいが悪いので、1面2線化できないかということを検討しています。これですね。1面2線。幅の広いホームにして両側に山手線を通す。埼京線をホームを北にある程度移転して、山手線と直接乗りかえられるようにするということであります。
(パワーポイント93)
こういうのも、なぜこんなことができるようになるかというと、東横線の跡地を一部使う、そういうことによってできるんですね。JRの今持っている空間だけでは絶対にできないわざであります。
それによって埼京線を北に上げると同時に、埼京線の線路の位置を上下方向に少し上に上げまして、その下の空間も歩けるようにする。そしてそれによって、東西方向の自由通路をきちんとしたものにする。1階レベルでつくる。こういうものであります。(パワーポイント94)
そのほかにもいろいろありますが、少しまとめてご紹介すると、今現在の渋谷駅付近の鳥瞰図を見ますと、こんな感じです。これが文化会館ですね。首都高が見えまして、これがJR。これが東急。これが銀座線です。
(パワーポイント95)
それを今検討しているプランで下からどうなるかというのを整理しますと、13号線の新駅がこの近所にできる。文化会館のちょうど前ぐらいです。地下4階です。そして地下3階は田園都市線の駅が入っている。地下駐車場を西口中心につくろうと。駅の付近の再開発をがっちりやりますと、駐車場だってもちろん必要ですから、少し南側にも駐車場をつくろうと、こういう案です。
(パワーポイント96)
地下2階になりますと、13号線のコンコースがここに出てきて、田園都市線のコンコースがこういうふうにくっつく。T字型に地下鉄のコンコースになる。
(パワーポイント97)
そして地下1階になりますと、こんな絵になります。これが地下街でありまして、恐らくはアメニティ的な空間と、商業施設等が入ることになると思います。
ここが今ハチ公の下でシブチカというところです。あれもかなり陳腐化していますので、やるなら再整備が必要でしょう。
渋谷川がちょうどこのB1の位置でこういうふうに流れているわけです。もちろんここは人は入らないようにするわけです。
(パワーポイント98)
1階がこんなぐあいになりまして、メインプラットホームというのは東西方向の自由通路です。北側にも1本つくる。
(パワーポイント99)
2階になりますと、こんな感じになりまして、まず西口についてはこんなような感じのデッキがある。駅前の西側のビルと駅がうまく動けるようにする。ここがハチ公前広場であります。ハチ公前広場は、実は私どもがいろいろ検討したときには、サンクンガーデンみたいに少し掘り下げて、こっちのセンター街や何かとやりとりできるようにしたらという案もあったんですが、地元の方々はハチ公が今の位置に、しかも今の地平にあるというのを大変に重視されてまして、ハチ公前広場そのものはいじらずに、その外側で感じのいいデッキを張ってはどうかという案を検討しているところです。
東側は、デッキを駅前に張って、こういうところを乗りかえできるようにすると同時に、水と緑の道というのがこういうふうに通るようになっています。要するに、デッキと水と緑の軸をここら辺では立体化するというものです。もうちょっと南に行きますと、今度は地平に水と緑の軸がおりてきて、線路敷きと一緒になってくるということです。
(パワーポイント100)
3階では銀座線がこういうふうに入って、山手線をまたぐようにして、連絡デッキが3階にこの位置に、北側、それから南側、首都高速とちょうど並行するような格好でできる。そういうプランであります。
(パワーポイント101)
そして4階。先ほどご説明するのを忘れましたけれども、明治通りと246号の平面交差というのが交通処理上非常に大きなネックになっておりまして、いろいろ検討がなされました。
(パワーポイント102)
1つの案は、明治通りをこの区間だけアンダーパスをつくり、それで平面交差を解消するというものであります。もう1つは、そうではなく、現在の首都高のそのまま上にもう1本橋をかける。そこに首都高をうつし、今の首都高の高架橋を246の本線として使用するというものであります。
2つの案の、利害得失を検討した結果、現時点では首都高を新たに上につくる方が得であろう、こういう検討結果になっております。その関係で新首都高というのがこの4階に登場してくる。
それから、さっき申し上げた4Fデッキというのがここを通っています。マークシティのエリアから宮益坂まで銀座線の上をかぶるようにして通っているわけであります。
(パワーポイント103)
それをもうちょっとパースで見ますと、南の上空から見た鳥瞰図がこんな状況で、地下4階、地下3階、地下2階、地下1階、それから1階、2階、3階、4階、こういうふうなことであります。そこにビルをどういうふうに建てるかというのはこれは全くの仮想的なものでありまして、もっとすばらしいビルであった方が僕はいいと思っていますが、例えばこんなビルだというわけです。
天井が吹き抜けていますから、何%ぐらいになるかわかりませんけれども、とにかく高度利用するということが私の考えではあります。ちなみに、ここに首都高がもう1段かぶるということになると、この町にとっては随分大きな構造物ができることになります。それに負けないようなメガストラクチャーにするためには、この首都高をまたぐようにして、南側に足をおろすビルなんてことを考えるのも、おもしろいチョイスじゃないかと僕は思います。
(パワーポイント104)
これはエレベーション、横から見たところです。
(パワーポイント105)
ビルは、あくまで例ということですが、東側から見た絵です。あちこちの方向から見た絵がこんなふうになります。
(パワーポイント106)
このくらいのビルだと、そこらにあるビルのコピーみたいで、別段これを見に世界じゅうの人が見学に来るとも思いませんから、もっとずっとおもしろいものにしないといけないと思いますけれども、このくらいのサイズ感覚のものがあったって、不思議はないんじゃないかという気が、私はしております。
きょうは、依頼されているタイトルが、駅を中心にしたということでございますので、ここで私のプレゼンを一たん中止させていただきまして、これから皆さんとのディスカッションをやらせていただきたいと思います。
どうもご清聴ありがとうございました。(拍手)
フリーディスカッション
司会(藤山)
家田先生、ありがとうございました。
それでは、これから質問等を受けていきたいと思います。きょうは時間の方もゆとりがありますので、この機会にお聞きになりたいこと等ありましたら、どうぞ。
角家(コンピュータ パソコン IT講師)
講演ありがとうございました。
最後の渋谷の再生について、どのくらい実現性があるんでしょうか。短いタームでこれが完成すれば立派な都市再生になりまして、東京の再生化に非常に役立つと思うんです。どのくらいの期間でどのくらいのお金をかけて、どのような問題が出てくるかは画面で見せていただきましたが、その効果がどのくらいあるのかということです。
家田
実はよくわからないのが正直なところです。まず、費用はどのくらいかかるかということなんですが、僕はせいぜい3000億円か4000億円かなと思ったけれども、ある先生にこの間話したら、これは1兆円だとかおっしゃっていました。よくわからないですけれども。六六が3000億円ぐらいですか、その他もろもろ込みにすると、あれもかなりだという話があって、それを入れるともう少し大きいかなというご感想をおっしゃっていましたね。
ただ、私のイメージは、グランドプランを持っていて、そのグランドプランの第1期はここをやる、第2期はここはやるというたぐいのことになるべきだと思うんです。そうしますと、まず第1歩としては地下鉄と東横線が下に行くのはまず明らかです。可能性としては、本当にあと10年ででき上がるかというと、こういうたぐいは常にちょっとずつおくれますので、何ともいえませんが。多分できることはまあまあいけるんじゃないかと思うんです。
それに伴って、東口側の現在のビルをいじるタイミングになるわけですね。ところが、あそこのビルをいじくったときに、今あの中でやっている商業活動が全部つぶれちゃ、これは非常に苦しいので、それに先行してまず西口をいじっておいた方が、多分クレバーな作戦ですね。西口をいじって、そこでまず立派なビルをつくっておいて、そして東口側にある商業機能を移転しておいて、東口のビルを壊すという構想が多分いいんじゃないかと思っています。 そういうふうに考えると、先ほど見せたプロジェクトの3分の1ないし半分ぐらいの規模までは頑張ればいける話じゃないかと思っています。
しかも、これが比較的に楽な側面というのは、地権者が少ないところなんです。そこがやる気になればできる。だけど、そこがうれしいだけのプロジェクトではやっぱり世界の人が見学するような町にはなりっこありませんから、そこにプラスアルファの容積なり機能を張りつけて、いく。
私が渋谷区に申し上げているのは、渋谷区の図書館がありまして、どこにあるかというと、原宿から歩いて5分ぐらいのところにある神社がありまして、その境内に建っている小さいものがあるんです。もっとバリッとした図書館を駅の上につくろうじゃないかということが、僕なんかは好きです。
そういうパブリックな機能も入れればいいし、あるいは高級マンションが、さっきのシカゴの例のように、駅の近所にうんと高いところにあったっていいし。いろんな公的主体、例えば公団とか、そういうところが参入しながら、私的なニーズだけじゃなくて、パブリックニーズもそういうところで実現していく。これまで日本の都市拠点でできなかったことを試行としてやっていくということになれば、多分実現度というのも、より高いものになるんじゃないかと思います。
そういう意味で、決してスイスイいくとは思いませんけれども、密集市街地何百ヘクタールを何とかしようなんてことに比べると、確度は高いのではないかと私は思っております。
永田((株)鹿島建設)
杉並区の方から参りました。
最近、自動車というか、交通と人間が錯綜しているというのが、実際の渋谷の姿だと思うんです。先ほどある外国の駅の例で人工地盤を広く使って、その上をうまく公園にしたというのがありました。この渋谷の検討の中で、もちろん人と自動車の動線が分かれているとは思うんですけれども、都市の中で自動車を見かけないような空間というのはできないんでしょうか。そんなご研究をなされたことがあるのか、ちょっと。
家田
そこまでの踏み込んだ強いご主張はあまり地元にないですね。すなわち、ある方々はぜひ都心部から車を排除してほしいという意見がもちろんあるんですけれども、片や、商業者の方からすると、とんでもない話だというところがございまして、こういうのはやっぱりみんなが納得できるものじゃなければいけないので、常に妥協になるわけですが、渋谷なんかでもトラックベイを社会実験やってその後本格的につくり始めていますし、地元の商業的な方と住民の方が上手に歩み寄りながら、完全に排除するんでもないんだけれども、野放図でもないという割合クレバーなチョイスをおやりになっているところだと思います。
きょうご説明に欠けちゃったかもしれないんですが、渋谷のもう1つの特徴は、真ん中に憩いの空間がないということなんです。休むところが全然ないんですね。したがって、そういうような憩いの空間をつくるということは非常に重要だと思っています。
ただ、それは地表につくるとは限らないので、デッキの上を今みたいに、いろんなところにある歩行者デッキみたいに、単なる歩道橋が広くなったというたぐいじゃなく、休める空間としてのデッキにする。そこには緑も豊かにする。もちろん水も流れている。こういういやしの空間になるようなスペースはぜひともつくる。これは強い地元のご要望でございますし、恐らくはこれまでにないくらいたくさんそれをつくれるんじゃないかと思います。
ただ、その前提条件はかなり高い方に利用するふうにしないと、空間が出ないんですね。そこのところを合わせてやれば、おっしゃるような意味を、違う形で実現することができるんじゃないかと思います。
野口(鞄本インテリジェントトラスト開発総合研究所所長)
どうもありがとうございました。
超高層ビルを建てるときに、余剰容積を使う。鉄道敷きの上の空中権の活用ということですね。さっきシカゴのケースで、たしか2000%ぐらい建つ。それを例えば日本の場合、この渋谷のケースでいいますと、余剰容積が生じる地点と、それを使うディベロッパーの必要とする敷地と、当然ながらタイミングのずれが生じるんですね。余剰容積を評価して、それをこちらに移転させるわけですが、そのときの時間のリスク、これをどういうふうに解決していくかというのが大変大きな問題じゃないか。これは渋谷だけの開発に限らず、多分日本全体で今後、例えば再生特区なんかで使う場合、そこをどういうふうに解決していくか、そこら辺のご検討は。
家田
残念ながらそこまで至っていません。まず、どのくらい時間がかかるかわからないけれども、最終的にはこんな姿になったらいいね、こんなファンクションをこのくらいの量入れたらいいねというのをつくっておいて、その次に今度はプログラムを組んでいく。しかも、その中で恐らくリスクを伴っていますので、途中でギブアップするチョイス、要するにリアル・オプション・アプローチみたいなものをうまく取り入れて、時間的なマネジメントをやっていくというのが不可欠だと思うんですが、まだできてません。
願わくば、ファイナンシングの専門家の方々に大いにこういうプロジェクトに入っていただいて、事業の面から見てもリーズナブルなプログラミングをするというステージに行けたらなと思います。
大熊(大熊喜昌都市計画事務所)
昔から渋谷駅を使っている者ですし、今も近くに住んでいますので、いろいろ関心があって、お話を伺いたいと思います。
内容につきましては、いろいろあろうと思うので、このプロジェクトの進行というか、プランニングを含めてどういう形でいくのか、皆目見当がつかないといいますか、おっしゃった話のように、地権者は確かに法人2人かもしれない。片や、東京都。要するに、それぞれの事業主体、縦割りの関係があると思うので、地下鉄とかそういうのは着々とできていくと思うんです。しかし、全体を考えると、必ずしも事業者だけのことじゃなくて、おっしゃるように、タイミングとしてかつてないチャンスの中で、パブリックスペースをどうやって構築していくかという話なので、それを今のところマネジメントする主体とか、そういうものは恐らくないんだろうと思う。
日本ではそういう形で今までは出てきたんでしょうけれども、渋谷の場合はそういうことでいいのかというのが一番大きな関心事なので、その辺についての可能性といいますか……。
家田
おっしゃるとおりのところが少なくとも必要条件ですよね。これは公的セクターがコントリビューションの多い姿での都市再生のプロジェクトという、ある種のプロトタイプといいますか、典型例になるんじゃないかと思います。 それはどういう意味かというと、道路もいじるし、都市施設、広場もいじるし、かなりの部分がいわば公的な都市施設なので、したがって、国道工事事務所と首都高速道路公団と、東京都建設局と、区もかかわるんですね。西口の広場は区道扱いなんですね。それからJRと東急電鉄、営団地下鉄、ここは民間ではありますけれども、完全に民間かといったら、そうじゃなくて、ややパブリック風なところが上手に何かうまい組織をつくれれば、あるいはアグリーメントをつくれれば、うまくいくでしょう。逆に従来型の縦割りのみだと、永遠に平行線なので、上手に収束するような手が要ります。
そこに何か、もうちょっと違う主体が入ることによってできないかとか、公的セクターのコンソーシアムみたいものができないかとか、あるいは協議会をつくってできないかとか、いろいろ検討事項はあろうかと思います。現時点では意思調整を私ども学校の人間がそういう調整をやっているようなところもあります。
したがって、そういう調整の機能というのは、オフィシャルな何とか審議会というようなものじゃなくて、ある種の委員会をつくって、半ば公的な場所ですから、そこでこっちの発言はこう、こっちの発言はこう、そこで時期を合わせてこういこうというたぐいですね。
従来のようなやり方とは違ったおもしろいやり方が、特区みたいなことを使ったり、緊急整備地域に指定して、その中でこの場所については特別なルールでいこうみたいなことをやれば、そう難しくないんじゃないかという気もしています。
長塚(長塚法律事務所)
渋谷区の場合は、最近道玄坂あたりが過密になってきて、救急車も通れない。そういうことで、都市災害とかそういうものについて、今のままでいいのか。さらに、渋谷川の前は今見ても随分深くて、高いみたいだけれども、やっぱり洪水その他の場合にあふれるんですね。そういうことも、再検討の必要があるんじゃないか。
家田
あるかと思います。もちろん渋谷の仕事というのは何もきょうお話ししたことのみが、渋谷のやるべきことではなくて、もっと地道な意味での防災事業や通常の意味での都市計画道路の事業等々もあろうかと思います。
きょうお話ししたのは、どちらかというと、今回の地下鉄と東横線のプロジェクトに合わせて、それから首都高の問題に合わせて、そこに関連するものをリンケージさせて開発をやる。そこのところに限定してお話しさせていただきました。
実際今お話しされたような防災問題のほかにも、下水からの悪臭がシブ地下あたりから出てくるとか、それはどこか下水が漏れているのではないかとか、いろいろ施設が老朽化して問題を生じていることも多そうでございまして、それはまた別途の整備が要るかと思っております。
角家(コンピュータ パソコン IT講師)
もう一度お尋ねします。
先生のきょうの演題の中で、日本の都市の交通移動手段として鉄道が非常に過密で、これが非常に有効に活用されている。いわゆる都市鉄道。これだけ狭い複雑な東京とか大都市では鉄道網をより整備する必要があると思います。 車は、基本的には荷物を運ぶとか、限られたタクシーとかで、都市交通の中ではできるだけ使わせないで、鉄道で輸送すべきだと思いますが、今後のこういう移動手段をどのように日本の都市再生の中で考えておられるか、その辺を聞かせていただきたいんですが。
家田
大局的に見ておっしゃるとおりだと思っています。大都市圏、3大都市圏、とりわけ東京、大阪都市圏についていえば、現在のネットワークがそこにプラスアルファで幾つかをさらにつくるプロジェクトがございますけれども、それくらいでおおむねでき上がるかなという感じがしています。もちろん、結節点の改善とか局所局所での改良はいろいろと必要と思うんですが、ネットワークそのものをこれから大幅に広げる必要は多分ないんじゃないかと思っています。
ただ問題は、そういう意味でいうと、大都市圏の交通シェアでいくと、鉄道のシェアはかなりマキシマイズしていまして、これ以上上げようとすると、例えば、90%を95%にするといったら、大変な努力です。ところが、45%を60%にする、これはちょいと努力すればすぐ上がる。そういう意味で、東京圏と大阪圏については、これよりもさらに鉄道がしょうというのは現実的には難しいかもしれない。今よりも快適に使ってくださるような改良が中心になるんじゃないかと思っています。
ただ、100万都市圏、札仙広福とか、この辺になりますと、ほかの外国の都市圏、例えばフランクフルトであるとか、シュテュツガルトであるとか、ハンブルグであるとか、こういう諸外国の100万圏に比べると、公共交通の充実度はちょっと見劣りするところがございます。
さらに、50万人都市圏ぐらいになると、これはガクッと見劣りしまして、ほとんどないも同然になっちゃうんですね。例外は幾つかございまして、例えば、長崎であるとか、松山であるとか、熊本とか、そういうごく例外的なものは路面電車などを持っている。そういうところは何とかそれをもっと盛り上げるように、ネットワークをもう少し充実するような方向でやれたらなという感触を私は持っています。
さらに、今度は20万とか30万ぐらいになると、鉄道は都市内交通にはちょっと難しいものが多いねと。公共交通を充実するにしても、よりエレガントなバスを導入するという感じかなと思っています。
必ずしも、都市再生といった場合の正攻法としての交通整備のみならず、拠点拠点でモデルをやって、そこでいい事例ができれば、ほかの都市もまねしていくという、特区型といいますか、少数精鋭型といいますか、そういうのを都市交通についてもぜひやっていくべきじゃないかと僕は思っています。
奥村(一級建築士)
都市再生とか、いろいろ渋谷の例もそうだと思うんですが、大規模開発等をしてハードは幾らでもつくれると思うんですけれども、現在の状況を見ますと、経済力も落ちてきている、人口も減る。先ほど来指摘されている、都市の国際競争力という面でも、空港の整備その他全部おくれていてということで、ハードはできてもソフトがついていかないんじゃないかと思われるんですけれども、その辺、こういう大規模開発、特区も含めて、中に入るものをどうお考えなのかということを聞かせていただきたいと思います。
家田
私も同感でございまして、箱だけつくったって始まらないですからね。実際にどういう用途のものがどんな質で、それがどのくらいのニーズがあるかというきちんとした把握と、それを円滑にマネージしていくためのソフトと、例えばエンタテインメントにしても、劇場だけつくったって始まらないわけで、人が必要ですね。コンテンツも要るし、アピールする地元の盛り上がりだって要るので、全く同感ですね。
かといって、ソフトのみでもまた物が残らない。亀井静香さんですか、「私にいわせれば日本の都市なんてごみ箱だ」なんて、この間テレビでいっているのを聞きました。ごみ箱だまでは私は思いませんけれども、長い時間かけてもコツコツと少しずつでも後世の子孫たちに誇れる資産を残していくというのはやっぱり大事なことだと思います。
その意味で、都市開発に限らず、何でもかんでもハードばっかりだったことは確かで、ソフトをお得意にされている方々が、大いにこういうところに入っていただいて、一緒にやっていくということじゃないかと思います。
ただ、もう1つ申し上げると、人口減少、それから高齢化で、ある意味では苦しくなる時代なんですが、僕はそういうのをちょっとニュアンスを変えてとらえておりまして、それはようやく落ちつきのある大人社会になれるなという理解をしています。
しかも、特に僕は交通をやっているものですから、そうなんですが、人口が上がっているときは量的な対応のみで手いっぱいで、1個1個の施設をきちんと納得できるような質のものにしようなんというゆとりが、担当されている方々にも、設計するコンサルにも、施工するゼネコンさんにもほとんどないんですよね。次から次へとこなさないと何もできない。こういう時代からやっと脱却できた。ついに質を向上するステージに入ることができたと思っています。
高度成長期の後半くらいに日本人が、何でヨーロッパの連中はこんなに1個1個を緻密に設計するのかね、ばかかな何て。だけど、ふたをあけてみたら、やっぱりいいものをつくってきているなというところがあるわけで、少しずつでもいいから質のいいものをつくる。そこのところもやっとできる時代と考えてもいいんじゃないでしょうか。
赤松(まちづくり神田工房)
藤沢で東京圏のまちづくりを担当しております。渋谷の開発に関しては、いろいろ会合でも発言をさせていただいたこともありましたけれども、4階レベルのスカイウェイの話が出てきてから、非常に整理がしやすくなったなと思っております。そうした中で、前段の話とのかかわりで見た場合に、私自身としては地下の3、4階レベルから地上の4、5階レベルまでは、基本的には交通機能、公共利用の機能に特化してもいいんじゃないか。その上に人工地盤をきちんとつくって、上空利用をするという考え方でもいいんではないか。
その場合には、今ありますハチ公口以外の、文化会館口、宮下公園口の交通広場の上空もきちんと使って上空利用するというような考え方でもいいんではないか。そうすることによってかなり事業期間の短縮も図れるんではないかなという気がしています。
その上で基本的にガイドプランの中で描かれている周辺部へのアプローチということが出てきて、そうした中で、例えば宮下公園であるとか、初台方面の再々開発ということもにらめるのではないかと感じている次第です。
ただ、スカイウェイのレベルは、新首都高を構想されますと、多分4階レベルと5階レベルの2層ぐらいにつくった方が本当はよくて、そうすることによって周辺への波及効果が出せるのではないかという気がしています。
ただ、1つ私が気になっているのはやはり渋谷川のことでありまして、渋谷川は、地表レベルでは基本的にはできるだけ今の河川を生かすような工夫が何とかできたらいいなと思っている次第です。
家田
特に反論もありませんけれども、そういういろんなご意見を、もしこのステージから先にいければ、ぜひいけるようにしたいんですけれども、そういう意見を中に取り入れたりすればいいと思いますね。
私自身の考えとしましては、きょう絵がないとお見せしようがないので、絵にしているわけですけれども、こういうデザインは、ちゃんとコンペを国際的に開いて、一流のアーキテクトがやった方がいいと思うんです。僕らプランニングをやっている立場の人間からすると、このレベルにはこういう通路をつくりましょう、1階にはこういうのをお願いしますよとか、川はああしましょうとか、基本的なコンセプトだけやっておいて、あとは全部お任せしちゃう。一番名所性があって、世界に誇れるようないいデザインをやってくれたら、今おっしゃったように、下は交通に特化してもしなくても、私はどっちでもいいなと思っています。
ただ、渋谷川の1階をあけるかどうかについては、私はちょっと意見が違っていまして、交通広場というのは人の動線の処理はかなり重要で、特にこの地形の場合、駅と駅の東側、文化会館側をつなぐ人の動線はかなり出る。もちろんこの人たちが1F以外のところで全員行ってくれれば、もちろんそれでいいんですけれども、やっぱり1Fにメインプラットホームができまして、一番楽に乗りかえる通行ができますので、そこのレベルでの人はかなり多いだろう。そうすると、そこに川が横断していて、それを限られた箇所の橋で渡らなきゃいけないという姿は、人数が少なければそれでいいんですけれども、渋谷駅の場合にはちょっと苦しいような予感はしますが、それも検討のアイテムの1つじゃないかと思います。
中溝(立川ブラインド工業(株))
先生のお話、大変興味深くお伺いしたんですが、交通網といいますか、高速道路のお話が渋谷で出ました中で、今の高速道路の上にさらにもう1層つけるというお考えがありました。現在の東京都の高速道路のあり方の中には、埋設すべきだという、地下の方に持ってきまして、川の上の二重橋の上のあたりの高速道路をなくしちゃう意見とか、景観の問題もありますけれども、そういったような意見もかなり強くなっております。交通的な問題とか、いろいろあると思いますが、先生の基本的なお考え方として東京における高速道路のあるべき姿は今後どうなっていくのか、ちょっとお聞かせ願えればと思います。
家田
日本橋とか、何しろあの時代にああいうふうにつくるのはいたし方なかったと思うんですが、これからあのまま永遠に使っていくと思うと、うんざりするところがありますね。タイミングを見て、全くあの場所で堀割の下になるのは難しいと思うんですが、大深度や何か利用しながら、別ルートでとか、地上は人間のものですので、なるべく地下に入れた方がいいと思いますね。
ただ、渋谷の場合についていうと、前後が傾斜地、丘になっているので、それを全面的に地下に入れようとすると、延長が長くなって苦しい。だから、あそこについていえばブリッジがいいとは思っていますが、常にブリッジがいいといっているつもりではございません。特に外郭環状道のような今議論されているような場所については、到底地上や高架でいけるようなことはあり得ない状況ですし、地下にきちんとした格好でつくり、しかもその場合に高速道路をつくるといったら、高速道路だけをつくっていこうなんてことじゃなくて、そこに例えば抱き込みでLRTを入れるとか、国によってはやっているんですが、高速道路の車線を1本だけ余分につくっておく。そこはバスの専用レーン。高速道路のバスの専用レーン。こういうふうにするとか、そういったような工夫をすることによって、マイカーユーザーじゃない方にも高速道路というものの恩恵がいくという工夫も柔軟に考えていくことじゃないかなと思っています。
総じていうと、東京都市圏についていえば、中央環状線もそうですし、外郭環状もそうですし、市街地化が進む前にせめて用地だけは確保しておくとか、先見性のあることが、本来、望まれていたのではないかなと思います。
野崎(岐阜県)
私は地方の人間ですので、今のお話、非常にうらやましいなと思って聞いていました。「都市再生」とここに書いてありますけれども、これが地方都市を見たときに、なかなか理解しづらいんですね。例えば、地方都市における都市再生というのはいかにあるべきかということ。先ほどの先生のお話の中で、伝統文化の継承で、上海などの例を引かれましたけれども、そういうところでもう少し詳しいお話を聞かせていただければと思います。
家田
もうちょっと、あと15分前にいってくれたら、プレゼンを続けたんですけれども。このコンテンツの後ろ半分が道路を活用した都市再生。それは当然、地方です。そういうのもありまして。だけど、あと5分しかないから、それは勘弁していただくとして。
今話したのは、都市再生といっても比較的大きな町の鉄道の駅を中心にしたものでいったんですが、地方では必ずしもそういうんではなくて、もう少し幹線道路のバイパスをつくってやるとか、そういうところを中心にして、きちんとした都市を再生するものも大いにあると思います。
それから、日本の道路で非常にいかんのは、道路をつくったら周りのことは気にしないというところがありまして、幹線道路をつくればつくるほどその周辺はどうしようもない場所になってくるというところが率直にいってありますね。そういうところを見直していく。幹線道路沿道を文化性のあるいい地区にしていくなんていうのは、大いに価値があります。
それから、岐阜であれば、長良川も持っているわけだし、金華山でしたっけ、持っているわけだし、鵜飼はあるしで、要するに、人を引きつける資産、潜在的な資産なんて幾らでもあるわけです。それを都市的な拠点と、交通ネットワーク、しかもただ道路をつくればいいというわけじゃないもので知恵を出していくなんて、でっかい都市よりも知恵がいっぱいあると思いますよ。また別な機会がありましたら、また議論しましょう。司会(藤山)
そのほかございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、お時間も参りましたので、きょうのフォーラムはこれで終わらせていただきたいと思います。
きょうは家田仁先生に「地球環境時代の都市再生」というテーマでご講演をいただきました。先生ありがとうございました。(拍手)